近年、イラクの通貨「ディナール」が再評価され、かつての価値を取り戻すのではないかという期待が、投資家の間で再燃しています。
特に、ディナールの復活に合わせて登場した「IQDT(イラクデジタルディナール)」という言葉が注目されているようです。
しかしここで注意しなければならないのは、このIQDTには「本物」と「偽物」が存在するという事実です。
そして、今まさに出回っている「IQDT」は、偽物である可能性が非常に高いのです。
ディナールの未来に期待する人は多い
期待があるものの、リスクも多いのが現実。
イラクディナールに興味を持つ方の多くは、「将来価値が上がる」という期待を抱いています。
とはいえ、これまでディナール投資には以下のような大きな障壁がありました。
- 偽物のディナール紙幣が出回っており、購入リスクが高い
- イラクの銀行で口座を開設することが日本からは非常に困難
- 換金や管理における不安がつきまとう
こうした背景から、「ディナールに直接投資するのではなく、仮想通貨を通じて投資できるなら便利だ」と感じる人が増えているのも事実です。
「IQDT」は本物?
IQDTとは、イラクディナールと1:1で連動する“とされている”仮想通貨、つまりステーブルコインの一種です。
本来であれば、こうした通貨は政府や中央銀行と連携して管理されるべきものですが、現在出回っているイラクデジタルディナールには不可解な点がいくつも存在します。
特に問題なのは、「預け先(保管される資産や取引所)」がどこなのかが明示されていないこと。
つまり、
💡 どこにお金が保管されているのか?
💡 どこの企業が発行し、誰が保証するのか?
といった根本的な疑問に答えられる情報が一切ないのです。
これは明らかに「通貨」としての透明性を欠いており、本物のIQDTではない=偽物の(IQDT)イラクデジタルディナールである可能性が高いと判断できます。
「IQDT=危険」ではなく「偽物のIQDTに要注意」
ここで誤解しないでいただきたいのは、「IQDT」自体が危険だと言っているわけではないということです。
実際、今後イラク政府や中央銀行が正式に「IQDT」という名前でCBDC(中央銀行デジタル通貨)を発行する可能性もゼロではありません。
しかし、今私たちの前に出てきている「イラクデジタルディナール」は、公的な裏付けがなく、どこが発行し、何を担保にしているのかが不明な状態です。
つまり、「IQDT」の名前を利用しているだけで、実際はただの無担保なコインであるという可能性があるのです。
預け先がない“通貨”に価値はあるのか?
もしあなたが投資を検討しているなら、ぜひ一度立ち止まって考えてください。
- そのIQDTは、どこで発行され、どこで保管されているのか?
- 換金時にどの銀行や取引所を通じて現金化できるのか?
- 運営元の所在地、代表者、監査体制は明示されているか?
これらの情報がなければ、仮想通貨ではなく“ただのデータ”に過ぎません。
「安心してディナールに投資できる」という謳い文句の裏に、本当に安心できる根拠があるのかどうか、必ず確認しましょう。
結論:IQDTを疑えというより、「出どころの不明なIQDTは避けよう」
ディナール投資に期待を持つこと自体は悪いことではありません。
しかし、その思いにつけ込む形で登場した「正体不明のイラクデジタルディナール」には、冷静な目を向けるべきです。
私たちが注意すべきは、
❌ IQDT = 危険
✅ 偽物のIQDT(イラクデジタルディナール) = 危険
という点です。
今出回っているものは本当に本物か?という視点を持つことが大切だと思います。
最後に
イラクディナールに興味がある方は、ぜひ以下のポイントを確認してから投資判断をしてください。
- 運営元の実在性と法的根拠
- 預け先や管理体制の明示
- 換金ルートの有無
- 公的機関との関係性の有無
“名前だけの仮想通貨”に資産を預けることがないよう、情報収集を徹底し、賢い判断をしていきましょう。